ドラクエ11はロト編にも天空編にもつながらない説を敢えて唱えてみる

 ※ネタバレしかありません。ドラクエ11や歴代ドラクエをプレイされてない方は読まないほうがいいかも…

 

 ドラクエ11は最初からドラクエ1~3のロト編を強く意識していて、3より前の話にあたるんじゃないかといわれています。最終ボスである邪神ニズゼルファを倒し、ロトの剣を命の大樹に納めに行くシーンでも、聖竜が「私がいずれ闇に呑まれる事があるかもしれない」旨の発言のあと、ドラクエ1につながるかのような描写があります。また、ローシュがセニカと再び会うことができたシーンのあとにも、ドラクエ11の物語が本となりドラクエ3の世界に伝わっているような描写もあります。故に、ドラクエ11がロト編につながるものであるという意見が出てくることはごくごく自然で、開発側もそれを意識させたものと思われます。

 しかし、ドラクエ11ドラクエ1~3のロト編のみを意識した作りでは決してないということを押さえる必要があります。ドラクエ11をクリアした歴代シリーズファンはよくご存知かと思いますが、ドラクエ11は歴代シリーズのオマージュやパロディが本当にたくさんありますし、楽曲も歴代のものをたくさん使用しています。モンスターだってロト編だけのキャラに限らず4以降のモンスターや新キャラも出ています。

 時を渡るシーンがあるということで、ベロニカを救った世界がロト編にいったのだ時を渡る以前が天空編につながるんだ、などネット上では様々な意見が飛び交っています。ただこれといった決め手に欠けているのも事実で、何を考えてもどこか矛盾点が出てきて、結局結論が出せないでいる。ドラクエ11の補足になるものや、ドラクエ11の正統な続編であったり、ドラクエ3のリメイクなどがあればわかるかもしれませんが、現状は基本的に議論は停滞しています。

 そのような様々な意見が飛び交う中、誰も唱えていない説を僕は敢えて唱えます。ドラクエ11は、どこにもつながっていない、と。

 そもそも、ロト編はともかくとして、天空編(4~6)は本当につながっているのか?という疑問もあるわけです。これじゃ憶測が憶測を呼ぶパターンになっていると思うんですよね。なので、僕は天空編を一旦置いておくことにしました。

 先に書いた通り、ドラクエ11はパロディやオマージュが非常に多いです。挙げればキリがないほどですが、少しだけ例を挙げると、ドラクエ5で奴隷として働かされるところから抜け出し教会に着くシーンがありましたが、あれは序盤にカミュとデルカダール城の地下から抜け出し滝に飛び降り教会に流れ着くシーンとそっくりですし、BGMも5のものが使われています。また、武闘会でも4に登場するビビアンやベロリンマンと戦うシーンでは4の戦闘曲が流れます。ニズゼルファ戦での奴の最後のセリフはオルゴ・デミーラのものと全く同じ「肉体は滅びようとも魂は永遠なり」というものですが、パロディだからなのか、ニズゼルファはそのセリフの後に「な…なんだと…!?」というような旨の発言のあと完全に消滅します。

 たしかに、いろいろな説の中で、ドラクエ11は歴代シリーズのドラクエ全てのストーリーの根元に位置するものだ、という意見があります。命の大樹はのちの世界樹になるだろう、あの場所に世界樹の葉が落ちているのがそれを証明しているだの聖竜はマスタードラゴンに転生するだの命の大樹の中にロトの剣(11では闇の衣を破る効果がある)を入れたことで後にそれがひかりのたまに変わるだの、それっぽいことはたくさんあります。

 ただ、僕はドラクエ11は歴代ドラクエの根元ではなく、一番先にあるのではないか、と考えます。というと少しおかしいかもしれませんが……、時の化身といわれる、いわゆるヨッチ族が全てのドラクエの世界を管理していると言われています。実際、3DS版では時渡りの迷宮という、1~9までの世界と同じところに行くことができる場所があります。

 となると、ドラクエの世界は全てつながっていて、ロト編も天空編も根っこは同じなんだろう、という意見が出てくるのはすごく自然なことです。根っこの話なんて今まで存在してないんですから。ましてドラクエ1や3につながるような描写もあるわけで。

 しかしですね、僕がこだわる点なので何度も言って申し訳ないですが、ドラクエ11はパロディーやオマージュの宝庫なわけです。ロト編や天空編だけにおさまらず、ベロニカが7のフォズ大神官と同じ服を着れたりもしますし9に出て不評だったギャルの妖精の格好にもなれます。なので、つながるとすれば1~10まで全てにつながらないと不自然なわけです。

 …考えがまとまらなくなってきたので、ロト編や天空編につながらない説に本格的にうつりたいと思います。

 ドラクエ11の邪神ニズゼルファについて。今作における最大の悪の元凶となります。そのニズゼルファの化身は勇者にくっつき、過去に帰ることで勇者の星(ニズゼルファの本体)に還り、復活を果たしました。勇者と共に過去に戻れるということは、勇者と同じく時を渡る能力があるということ。「光があるところには闇もあり」とドラクエ11内でよく言われているように、勇者と魔王は対であり同じものであると思っていいかもしれません。

 今作の勇者の力は恐ろしいほど強く、勇者パワーを存分に見せつけてくれます。となれば邪神ニズゼルファもむちゃくちゃ強いという設定になるのでしょう。歴代ドラクエの勇者と魔王の戦いを知っている時の化身は、邪神を見て思ったのではないでしょうか。今までの歴代の勇者が糧にしてきた事や経験を全てドラクエ11の勇者に与える必要があるのではないか……、と。

 と、いうのが僕の妄想の根源になります。PS4版しかプレイしていないので適当になってしまうかもですが、物語中、ありとあらゆる場所でヨッチ族を見かけます。しかも最初から最後までそのヨッチ族とは何なのか全く語られないまま終わります。「知りたければ3DS版を買いなさいという開発のメッセージでなければいいのですが、おそらくドラクエ11の一番の鍵は"時の化身"です。

 その"時の化身"がいる場所というのも、だいたい宝箱周辺に存在していたり重要な場所を示していることが結構あります。魔王の剣を時のオーブと共に引っ張ってきたり、道具やお金も時渡りさせてきたわけですから、時の化身も歴代ドラクエに登場する武器などのアイテム、はたまたモンスターまで時渡りさせたりもあり得るのではないでしょうか。これはRPGの全体にある、なぜここにこんな良い武器や防具があるのか?という疑問を解決させてくれる気がします。

 オープニングで一番最初に目につくのはヨッチ族に似た邪神の化身であったり、なにかと時の化身がうろちょろしていたり、ドラクエ11を紐解くのであれば必ず気にしなければいけない存在なはずなのに、不思議とそのあたりは何も語られず、ただ時を渡ったのは上書きだの別世界だの言い合いしているのが僕には少し残念に思います。

 むちゃくちゃ長いしまとまってない文章ですが、最後に結論として短く。ドラクエ11は、時の化身が作り出したパロディーやオマージュだらけの世界であって、それ以上でもそれ以下でもない。ドラクエ11からロト編にも天空編にもつながるわけではない。という事です。

 まぁ、この説も聖竜の言葉や命の大樹はなんなんだとか、色々あると思いますが。。。こういう意見もあっていいんじゃないかと思って書かせていただきました。