バーチャルYouTuberのはじまりと終わり

 YouTube界隈で絶大なブームを巻き起こしているバーチャルYouTuber(略してVTuber)。チャンネル登録者数の増加数はVTuberがいつもトップ10に複数人いるほどの人気ぶり。VTuberはなぜ流行ったのか?なぜ今も流行っているのか?ブームが終わる日はあるのか?色々と考えてみたいと思います。

 

VTuberが流行った理由とは

 流行る以前からVTuberの第一人者である「キズナアイ」はチャンネル登録者数100万人超えをする大人気YouTuberでしたが、特別人気のある動画があるわけではなく、一部オタク層に向けたものでしかないニッチな存在でした。

 ただ、第二のキズナアイを目指そうとしたVTuberが現れ、そのうちの1人「ミライアカリ」が行ったクリスマス生放送内で謎の一般男性からきたLINE通知が見えたりPC画面がうつされるなど放送事故だらけで終始グダグダだったり、一コンビニ店員の「ねこます」さんが狐娘になりきるも声がおじさんで、その中身がおじさんの狐娘とポッキーゲームをする動画だったり、わきでおにぎりを作る動画などが見つけられるなど、VTuber界にネタがあふれている事にみんなが気づきはじめました。

 そういう面白さもあるでしょうし、YouTubeを行っているのが2次元キャラクターというのもあり、ただの一般の方とは違ってその人なりの背景などが一切なく、スキャンダルなども存在しないのも大きいと思います。そのあたりは普通のアニメキャラと同じで、アニメキャラにある背景はアニメ内や原作の漫画のみで、その他の部分は存在しません。VTuberも同じで、存在するのはネット内のみ。中の人である声優さんを追うというのもあるかもしれませんが、VTuber自身はネット内にしか存在しません。

 個人的に、そのあたりのクリーンさだったり安心感があるというのは一般的なYouTuberに対するアンチテーゼも込められているのではと思います。よく言われる事務所の壁であったり、あくまで商売としてYouTuberをする人もいたりとか、異性に関するスキャンダルなどなど、動画を見て純粋に楽しむには邪魔になるものがつきまとう事がたびたびあります。それが嫌でVTuberにうつったという人もいるのではないでしょうか。

 

今も変わらず人気なのはなぜ?

 まぁまだ人気が出てそれほど経っているわけではないですが、少なからずこれだけブームが長続きしているわけですし、本当に流行ってきていると思っていいでしょう。事実、先日行われた「ねこます」さんのニコニコ公式生放送の来場者数が10万人超え、コメント数も30万件を超えるなど、尺にして2時間ちょっとだったと思うのですが、ニコニコ生放送でこれだけみんなが楽しんでいる生放送は本当に久々に見た気がします。終了後のアンケートも95%くらい「とても良かった」でした。

 人気が今も変わらずある、むしろ勢いを増している要因として、人気のあるVTuber一人ひとりに大きな特徴があり、住み分けができている事が大きいと思います。VTuber四天王と呼ばれる5人の方々でいえば、「キズナアイ」はポンコツ&調子乗り、「ミライアカリ」は鋼メンタル&コミュ力、「シロ」は清楚&サイコパス、「輝夜月」は観るマリファナ&首絞め声、「ねこます」はおじさん&狐娘。他にも特徴はあるのですが、まぁだいたいこんな感じ。キャラの見た目に頼っているだけでなく、その中身や性格のほうが注目されていると思います。

 あと大きな理由として、皆さん性格が良いという事でしょうか。嫌味のある部分が一切ありません。VTuber四天王の中で唯一の男性(?)である「ねこます」さんも、動画の中身ももちろん良いですが、それ以上に温かみのある性格で人柄が良い点が人気に思えます。そういった人間ならではの嫌な部分が一切なく、アニメキャラのように特徴があるだけで嫌な性格の部分が一切ないのが大きいと思います。実際、VTuber四天王の方々はその動画内や生放送内での言動が原因で炎上した事は一度もありません。

 

個人VTuberが次々と誕生、さらに大きなブームに

 VTuberが流行りだした当初は、さきほど挙げた方々くらいしか人気がなければ存在してもいませんでした。しかしこの波に乗ろうとさまざまな個人VTuberが参入してきました。「ねこます」さんのように一人で3Dモデルまたは2Dのキャラ絵を描き、それをキャラとして声を吹き込み動画を作る――そうやって動画を作る個人VTuberが毎日のように新しく出てきはじめています。

 中には第一人者である「キズナアイ」を超えるのではと思うほどの技術力を持った方がいたり、ただ2Dキャラをうつして喋るだけのVTuberまがいのものもいたり、VTuberの定義がわからなくなるほど有象無象になってきました。

 現状、やはりまだ一番面白いのはVTuber四天王の方々であるのは間違いなく、まだ伸びはじめた分野であるため伸びしろもたくさんあります。そのため、個人VTuberの時代がいつくるのか――そう思っていましたが、まだ動画を10本もあげていないような新参者がチャンネル登録者数3万人達成するなど、個人VTuberがものすごく注目を浴びてきました。

 この流れ、なんとなく仮想通貨に似ている気がしまして。それと同じようになるとするならば、人気が出るはずのないVTuberが人気になったり、需要と期待が乖離しはじめるとVTuberブームは終わりを迎えはじめると思われます。そして、本当に需要のあるVTuberのみが残る。おそらくこのような流れになります。

 さきほど挙げた3万人達成の新参者は実力があるのでアレですが、他にもまだ人気と実力が噛み合ってない人達がいますし、おそらく期待をしている方がなんらかの理由で失望しはじめ、徐々に個人VTuberは人気を失っていくでしょう。VTuber四天王の方々はアニメ人気とYouTuberが終わらない限りは安泰だと思います。

 

個人VTuberブームが終わる事はあるのか?

 個人VTuberブームが終わるには、その中でも人気のある方がスキャンダルに遭ったりすると人気がなくなるのではと思っていました。またこれだけ急激に人気が出るため、なんらかの形で反動もくるだろうと思っていました。現に、個人VTuberとしてとても人気のあった「のらきゃっと」さんは生放送内で顔バレしてしまい、さらに本名バレや2ch内での書き込みなどが発掘されるなど悲惨な事になっています。それでも相変わらず人気がありますが、おそらく他に良質なVTuberまたはコンテンツが見つかれば視聴者がどんどんうつっていくものと思われます。

 ちょうど今日ですが、数少ない個人の女性VTuberのTwitterYouTubeがハッキングに遭い削除されました。ただの犯罪行為なだけなのですが、本人はそれほど復帰に強い意思があるわけでもないため、このまま引退するものだと思われます。まだそこそこ人気のある女性VTuberがいなくなっただけで大きな影響はないですが、個人VTuber内では大きな影響力があった事もあり、じわじわとVTuberの波が収まっていくのではと思います。

 ただそれは他に優秀なVTuberが出てこなければの話で、今でも技術力のある方はたくさんいますが、それに並ぶぐらいの技術力のある方であったり、VTuber四天王に負けないくらい魅力ある方が出てくる事があればまだまだ続くと思います。

 

VTuberの人気はいつまで続く?

 普段VTuber動画ばかり見ていてYouTuber動画はほとんど見ていなかったんですが、動画の内容がまるで違うために視聴者層も全然違うでしょうし、個人のYouTuberと違ってそこそこの年齢の方も熱心に観ているように思います。VTuber四天王の一人の「シロ」の個人スレには懐かしの2ch文化である「シロ」のAAがいくつも作られたりですとか、FLASHを思わせるような動画が作られたり、ファン活動が一昔前のものな事が散見しています。また、登録者8万人のバーチャルアイドル「ときのそら」に作詞作曲及びミックスを行えるような方が複数人いたりもします。

 VTuber人気が終わるとするなら、アニメブームが終わった時、もしくはVTuberに代わるようなコンテンツが見つかった時だと思います。現時点ではまだまだ手探りな環境で一般層には浸透している状況ではないため、本格的な人気には至ってないと思われます。それら一般層にもウケだした時、VTuber人気は徐々に収束に向かっていくものの、一定の地位を築き安定するのではないでしょうか。

 

さいごに。おすすめのVTuberなど

 VTuber動画ばかり観ているので、VTuber四天王も含めてオススメのVTuberを何人か紹介します。

 

「電脳少女シロ」

 VTuber四天王の一人で、見た目は清楚で声が高いいわゆる萌え声なのですが、時々ものすごく低い声を出して絶叫したり、男性でもいわないような汚い言葉を平気で言ったり、急に般若心経を唱えたり突拍子のない発想をするなど謎の言動が多く、ファンの間では彼女の思考回路に関する考察もたびたび行われています。中の人がFPSゲーマーらしく、そういったゲームやドラゴンクエストライバルズといったカードゲームも得意ですが、ホラーゲームがとても苦手です。撃ち殺せないのが理由ではないかと言われています。

「あっくん大魔王」

 個人VTuberの方。魔王キャラですが、中身は童貞。FPSゲームのPUBGを好んでよくプレイしていますが、敵が現れるたびに絶叫しごめんなさいごめんなさいと謝るなど、魔王とは思えないひ弱で一つ一つの言動が愛らしい性格をしています。特に他のVTuberの方とコラボした時に本領が発揮され、何をするにも笑いを生んでしまうなど天然なところがよくみられます。動画も面白く性格に温和でとても優しく嫌味がないため、これからもっと伸びるのではないかと期待しています。

「カフェ野ゾンビ子」

 個人VTuberの方。完全なバーチャル空間を作っており、ゾンビとして自撮り撮影風にさまざまな遊びを行う動画を投稿しています。たとえば料理を作ったりバウンスオフやジェンガをしたりなどをバーチャル空間で物理演算を行って動画を作っているため、数々のVTuberの中でも一番VTuberをしているのではないかともたびたび言われています。たまに動画内で"たかし"と呼ばれるゾンビAIや、ゾンビを撃ち殺しにきた人間が現れるなど、単なるバーチャル空間にとどまらず、いつ何が起こるかわからないハラハラ感が常につきまといます。カフェ野ゾンビ子さん本人もとても温和でよく笑う方なので嫌味はなく観ていて素直に楽しめます。

「バーチャルおばあちゃん」

 個人VTuberの方。元々ニコニコ動画内で動画を投稿していた「すあだ」さんがやられています。前者の「バーチャルおばあちゃん」は、おばあちゃんがCoDといった戦争ゲームや、恐竜を討伐する大人気ゲームMHWなどの猟奇的なゲームをプレイし戦争当時を思わせるような危ない単語(シナ、慰安婦満州など)が普通に飛び交います。古くからいる視聴者が多いのか、他のVTuberの方とは違い視聴者の方にも面白い方がたくさんいるなと感じます。とにかく笑えるゲーム動画が観たい方におすすめです。また、同じく「すあだ」さんがやられている「さょ」も独特で面白い生放送をされていたりするので余裕のある方は両方チェックされるといいかと思います。

 

さいごに

 これほど長文になるとは思いませんでしたが、飛ばし飛ばしでもここまで読んでくれた方がいれば本当に嬉しいです。VTuberがこれからもどんどん発展していくことを期待しています。グダグダと長い長文を読んでいただきどうもありがとうございました。