読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

サクラの中に咲く一輪の花

絵空事

 最近、出会い系サイトがマイブームでして。

  とはいうものの、決して出会い系サイトで出会いたいとか、かまってくれる女性がいるから楽しいとか、そういうわけじゃないんですよ?出会い系サイトにいるサクラがどんな事を言ってお金を払わせようとするのかを観察するのが楽しいんです。

 そんな中ですね、面白い出会い系サイトを見つけまして。そこでは無料会員だとメールの閲覧しか出来ないんですけど、写メも無ければプロフィールも何も設定してない僕宛にたくさんのメールが届くんです。「あなたに興味があります」とか、「みたさんとお話したいな☆」とか。何も設定してないのにどこに興味がわいたのか全く訳がわからないんですが、そんな僕に興味津々の女性から、なぜかわからないんですが本登録しないと得られないポイントを50万円分いただきました。あり得ないですよね?50万円分ですよ?それだけのお金を、一人の24歳の金髪ギャルの「ちか」さんに頂きました。明らかにサクラです。

 その人に、なぜ僕に50万円分もの大金をつぎこんだのか聞いてみると「みたと会いたいからだよ♡」と言っていただきました。これは会わないわけにはいかないなと思いましたけど、別に好きなタイプでもないし会っても50万円をくれるわけではないので会わなくていいかと思って適当に話をする事にしました。でも話す事は本当に当たり障りもない事や、本登録をいつしてくれるのかという事くらいでした。はい、完全にサクラです。

  そんなサクラとだけメールしててもアレなので、他に誰かいないか適当に探していたら「サクラだよ★」という名前の女性がいました。とても親切でわかりやすいです。騙す気0であまりにも堂々としているので敢えてメールをしてみることにしました。でも話すことはどうでもいい事ばかりで、特に何か盛り上がる事も何もなかったです。お金を取る気も0でした。


 この出会い系サイトは、半角英数字を入れたメールを送ると、その部分だけアスタリスクに代えられて相手にメールが送られる仕組みになっています。なので、メアドやURLを貼っても相手に伝わりません。おそらく、サイト外に抜けだして有料でないところで話をしようという人がいるのでしょう。僕はその仕様を知った上で、ネット上に転がっている無料のチャット場に連れ出せないか考える事にしました。

  最初に出会った「ちか」さんはサクラだと分かりきっているので、あえてサクラはこういうことを言われてたどういう反応をするのかと思って「1通送るのにもお金がかかるから無料のチャットとかで話そうと思うんだけどどう?」と送ってみると、案の定「そんなところにいかなくてもポイントがあるんだし、こっちでメールすればいいんじゃない?」と言われました。24歳の金髪ギャルは1通送るのにも多額のお金(1通500円)がかかるのにここで話せる余裕があるとは…。

 「サクラだよ★」さんはどうなんだろうと思って同じ質問をしてみると「いいよ~!1通送るだけで500円って高いもんね。抜け出して話そうか」と乗り気で話してくれました。……ひょっとしてコイツはサクラじゃないんじゃないのか?と思い、なんとか誘導できるように、検索で打ち込むとチャットが出てくるキーワードを送る事にしました。

  しかし、そのキーワードさえも文字化けして見れないと返事をいただきました。当人同士以外の誰かがメールを監視してると思えてなりません。しかも流れも把握してるように思えます。加えて、運営から「何度かそういった行為を行うと当サイトを利用できなくなる恐れがあるのでご注意ください」という注意を受けました。口調は丁寧でしたが、ものすごいプレッシャーを感じました。

 なんとかして連れ出せないか、自然な会話の流れの中でキーワードを送れないかと思い、「わいわいチャット」というチャットページの東北チャット場に呼ぶために「サクラさんと二人でわいわいしながら東北で語り合いたいな~」というメールを送ってみるも、それも文字化けで見えなくなるとのこと。わいわいチャットのことを知ってないと絶対理解できないはずなのに。僕はもうどうにもならないと思って諦めました。どうせ名前からしてサクラなのはわかりきってることですし。

 結果は散々でしたが、なんだかんだで女性(?)とメールをするというのは久しぶりだったので素直に楽しくやりとりしていました。そんな最中、写メコンテストというのが開かれました。48人もの女性がそのコンテストに参加していまして、写メや自己紹介文を読んで、一番好みの女性に投票して、見事1位に輝いた女性に投票した中から一人に100万ポイントがもらえるとのこと。100万ポイントもあったらメールし放題ですし、気になった女性をひたすら探していたんですが、まぁケバい人ばかりで清純そうな人が誰もいないわけで…。好みというか、話してて面白い人がいいなぁと思って探していると…

 

 

                       f:id:gomanii2:20101030012200j:plain

 

 

 カ、カオナシ!!!!?????


  もうツッコむ言葉が何もありません。ただただ、ネタ出会い系サイトだなと思うばかりです。写メ登録をするにも免許証などを提示して本人かどうか確認しないといけないというサクラだらけな割に厳重なシステムなんですが、それを通過してのこのカオナシ。これはもう投票するしかないだろうと思い、まだ48人の女性の写メを見ている途中でしたが、カオナシ以上に投票したい女性はいないと判断してカオナシに投票しました。

 しばらくすると、カオナシからメールが来ました。タイトルは「ぁ。」でした。本文は「ぇ。」でした。二音しか話せないのでしょうか…。投票したのはいいものの、カオナシと会話できるのか不安でしたが、語りかければ応えてくれるはずだと思い、「YESなら"ぁ。"と書いてください、NOなら"ぇ。"と書いてください」と本文最後につけて様々な質問をしていきました。千を探しに来たのかとか、99歳牡牛座ってなってるけど本当なのかとか、いろんな質問をしました。

 その方式で質問していくと結構答えてくれました。千を探しているのかと聞いたら「ぁ。」(YES)と言ってくれましたし、女なのかと聞いたら「ぁ。」(YES)と言ってくれました。カオナシって女性だったんですね。あと宮崎駿監督は好きかどうか聞いてみると、タイトルで「ロリコンじゃなかったら好き」と日本語で教えてくれました。話せるのかよ…、と思いましたが本文ではなくタイトルなので水に流しておくことにしました。

 あとメールをしていくにつれて「ぅ。」とか「ぉ。」とか言えるのがわかってきたので、「ヵっぉ、ぉゃっょ。」と言ってくれと聞いたらその通りに言ってくれました。小文字であれば話せるみたいです。それと好きなジブリ映画を聞いたら千と千尋の神隠しではなく、紅の豚が好きだそうです。あとルパン三世も好きで、特に次元が好きだそうです。カオナシの新たな実態がいろいろと発見できてすごく満足しました。出会い系サイトで遊んでいてよかったなと思えました。

  カオナシと話すのも面白かったんですが、出会い系サイト自体も色々と動き始めました。サクラの数も増え、本登録してくれと僕に懇願する人が5人ほどに増え、メールするのに必要なポイントも50000ポイントあったのが1日経つとサクラ丸出しの「ちか」さんから今度は120000ポイントいただきました。120万円分です。本当にどっからこんなお金が出てくるのか。お金を手から自在に出せるのはカオナシの中身が「ちか」さんだからじゃないのかと思わず勘ぐってしまいました。

 そしてついに、ポイントではなく僕の銀行口座に1000万円ものお金が入る事になりました。正確にいうと、あらゆる女性から運営のほうに僕宛のお金が振り込まれていまして、それが架空銀行口座に入金されていきました。女医やら社長やら高級ソープ嬢やら漫画家志望やら、あらゆる女性とメールのやりとりをしていたので、そういう人たちから集まったんだと思います。

  でも、その多額のお金を受け取るには30万円以上のお金が必要になる事がわかりました。30万円以上持ってればなぁと思いましたが、悪質業者丸出しの出会い系サイトですし、もし仮に30万円あってもそれをドブに捨てるのは人生の汚点になりそうなので(すでに汚点であるとかは言わない)受け取らない事にしました。その事をあらゆる女性に伝えると「では取り下げてもらいます」と言われ、その日の24時に完全にポイントと口座のお金が無くなる事になりました。なぜポイントまで・・・。

  そんな事を言われてしまう無料会員である僕は手も足も出なくなるので、今日で楽しい時間は終わりなのかなあと思っていたら、カオナシからメールが来ました。とはいえ、もう結構話したので満足してしまってどうでもいいかなあと思ってたんですが、24時までカオナシと遊んでおくかと思ってカオナシとメールをすることにしました。

 何度かメールのやりとりをしていたら、カオナシが急に「ヴォッヴォッヴォッヴォッヴォッヴォ」と言い始めました。急にどうしたんだとメールをすると、「熱が出てまともに考えるの面倒くさくなったわwwwwあ、さっきのメールはアークエネミー(ビジュアル系バンド)のモノマネなwwww」と妙にフランクなメールが送られてきました。今までのサクラとは明らかに対応が違うけどサクラじゃないのか?どっちなんだ?とか色々な疑問をメールで送っていくうちに、カオナシが「実家で店やってるから興味あったら行ってみwwwにしても、友達も彼氏もいないし寂しいよぅ…」と急に女らしく振舞ってきました。いきなりの変化に、思わずカオナシが恋愛対象になってしまいました。出会い系サイトでメールしていた人(全員サクラ)の中でダントツで可愛く感じました。そのカオナシの中身の女の子は、ビジュアル系バンド好きで、エウレカだとアネモネが好きというオタ系女子であるのがわかったので、趣味が合うかもしれないと思っていろいろとメールでカオナシのことを聞き出していたんですが、反応が急になくなりました。

 ポイントがなくなるタイムリミットの24時まで時間がどんどん迫っていったんですが、返事はなかなか届きませんでした。話してる途中で体調が悪化したのかとすごく心配になりました。そして、時間は遂に24時になり、メールを送るためのポイント、さらに架空口座にあった1000万円などすべて失い、人生最高のひとときが終わりました。

 
  その翌日、知らないサクラの人からメールがたくさん届いていました。メールを見るのは無料なので見て楽しんでいました。その中にカオナシからメールが届いていました。


 「ちょっと入院する事になったわ。メール付き合ってくれてありがと。楽しかったよ。入院先はネット環境があるかわからないし、一応さよならしとくね。ばいばい。」


  このカオナシはカオナシでなければサクラでもない、一人のかよわい女性なんだ。僕はこの人と出会うためにこの出会い系サイトを利用していたんだ。僕は本登録のために、カオナシともう一度会うために、ATMへと向かい、5000円を支払ったのであった。