台風が来てるのに家の鍵が閉まっていた時の話

 日曜日とて仕事。とはいえ、午前までで終わり、意気揚々と(すごい疲れたけど)家に帰ってみるも、家の鍵が閉まっていた…。普段は僕が家の鍵を閉めて家を出るんだけど、今日は兄が家にいたために鍵を閉めずに出てきて、そういう普段とは違うイレギュラーなことをしたことで兄は家を出るときに鍵を閉めて出て行ってしまった。

 鍵をどこかに隠してくれたりしてればいいけどそんなこともなく、とりあえず兄に電話してみたけれども留守番電話。メールをするも、これも返事なし。台風が近づいてきていて、雨もそこそこ降り出している時だというのに家に入れない。しかも僕はバイク乗り。車に乗って時間を潰すなどということもできず、出かけるしかない。こうして、僕は普段出かけることなどしないのに街に繰り出さないといけないハメになった。しかも台風の中。今日はその時の話でも書いていく。

 まだ出かける時にはそこまで強い雨ではなかったものの、急に大雨になったり、強い風が吹いてきたりなどしてくる。これなのにバイクで出かけなければならないのか。とりあえず時間が潰せるところを、ということでデパートに行くことにした。

 台風ではあるけれど、世間的には休日である日曜日。人の数が普段の休日並に多い。おまえら家にいなくていいのか。そんなことを考えながら、適当に探索。普段は目的を持って色々と動くため、目に入らないところに色々と目がいく。

 そんなわけで、色々と目がいった先に見つけたものを1枚。

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 流行に乗っかったJTB。サイクルの早い今となっては古いと言われる流行語大賞候補をデカデカと掲げていた。こういう、お偉いさんのおふざけというのは味があって好き。なんか頑張ってる感があって好き。

 人もいろいろだった。すごいキレイな人妻のようで人妻でなさそうな女性もいたし、なんでお前らカップルなんだよと言いたくなるような2人組もいた。どういう意味かはおいといて。あと一番驚いたのは、足の長い子供の多さ。体の半分くらいは足なんじゃないのかというくらい長い女の子もいた。カポエラとかはじめたら大変なことになるんじゃないのかと思った。しかも友達と追いかけっこしてたから余計に足が長く見えた。でも子供が子供らしく遊んでるのを見て少し安心した。

 あと、僕はデパートに行ったときの楽しみがある。それはおもちゃ売り場を見ること。別におもちゃを買いたいわけではなく、おもちゃを作る技術の向上や、時代に左右されないおもちゃの作りなどを見るのがとても楽しい。それを見て、育児の進歩やら遊びの幅だったり何が人気なのかが分かるし、他にもいろんな着眼点を持っておもちゃを観察すればいろんなことがわかる。そんな中、ちょっと興味をそそられたおもちゃがあったので撮ってみた。

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 なんか怖い。赤ちゃんのけなげな笑顔がとてつもなく恐ろしく感じるのはなぜだろう。僕がおかしいのだろうか。あともう1枚。

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 以前、裸の女の子を立方体にすることで興奮するフェチというのを知ったからなのか、これもとてつもないフェチのように感じて恐ろしく感じた。子供のおもちゃというのは楽しさと恐ろしさの狭間だったり両方を兼ね備えていたり紙一重なところにあったりするのかなあと思った。

 他にもいろいろ見て回ったけど特別面白いことはなかったので省略。しいてあげるならば、今となっては懐かしく感じるガチャポンで、幕末・明治・大正時代の金貨銀貨銅貨いずれかのレプリカがもらえるというものがあった。子供用のガチャポンが並ぶ中でこんなものがあるとか誰がやるんだと思ったので100円を投入し、今風に言うとガチャを回してみた。すると明治時代の5円金貨が出てきた。これは貴重!とは全く思わず邪魔でしかないけどとりあえず財布に入れておこうと思う。

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 他にもいろいろな種類のガチャポンがあり、さっきのように興味を全く引かれなさすぎてガチャを回してしまったものの他にはプリキュアだとかドラゴンボールだとかの定番といえるガチャポンが並んでいた。そんな中に、興味を引かれたものがあった。ペヤングのガチャポンである。主に関東で大人気の焼きそばなのだが、カップ麺大好きな僕が週に1度は食べるほど大好きなカップ焼きそばだ。そのガチャポンというのは、ペヤング焼きそばをミニチュアにしたキーホルダーがもらえるというものだった。種類も、現在発売しているものが勢ぞろいしており、ペヤングマニアを唸らせる品揃えとクオリティの高さを誇っていた。ペヤングが大好きなのだからこれはガチャポンを回さなければいけないという強迫観念にとらわれ、さきほどの金貨よりも100円高い200円を入れてガチャポンを回してみると、ペヤング大盛り焼きそばが出てきた。なるほど、再現度が高い。並や超大盛は食べたことはあるが、大盛り焼きそばは食べたことがなかったので新しいペヤングを発見できたみたいでよかった。ちなみに、200円あれば大盛どころか最大サイズの超大盛が買えてしまうため、本物よりもキーホルダーのほうが値段が高いという……。

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 もうデパートでやれることはやったので携帯電話を確認したが、兄からの連絡は無し。これからどうやって時間を潰そうか悩んだ末、はじめての一人映画鑑賞をすることにした。

 観る映画は「風立ちぬ」。宮崎駿監督の引退作。零戦を作った堀越二郎の半生を描いたもの。あまり堀越二郎にも零戦にも興味はないが、話題になっているしジブリだし暇を潰すにはもってこい。チケットを買ってシアタールームに入ったが、こんな天気にもかかわらず結構たくさんの人が入っていた。風立ちぬ」じゃなく「台風立ちまくり」の今日に何しにきてんだおまえらはと何度も心のなかでつぶやき、映画がはじまるまで時間を潰した。


 ここからは映画のネタバレ含む感想。嫌な人は飛ばしてください。


 映画の最初にある堀越少年の夢は、あれは今までのジブリ映画とは違って敵は出てこないよっていう意味の描写なのだろうか。しかも夢の結末はバッドエンドだったし、あのシーンには結構時間をかけた感が。あと、中盤に差し掛かるあたりで、子供をおぶった女の子たちにお菓子をあげるシーンは千と千尋を彷彿とさせながらも、千尋のように食べずに逃げていったし、今までのジブリ映画とは違うぞというのをここぞとばかりに何度も見せていたのが印象的だった。

 全体的な構成として、仕事に明け暮れつつ菜穂子と恋愛する様子を描いた感じで、基本的にどっちかを主体にすべきだと思ったけど、最後の夢のシーンでは仕事も恋愛も同時の終わりを迎えた。いい話ではあったけど、仕事も恋愛も同時に終わらせたし、ただの半生映画なんだなあという印象。ポニョや千と千尋のような目新しさは特に感じなかったのがガッカリ。全体的な感想としては、まぁまぁ面白かったというのが妥当だろうか。


 ここまでが映画のネタバレ。


 映画も無事に観終わり、いい時間になり、連絡はきてるかなと思い携帯を確認するも、相変わらず連絡は無し。ため息をつきつつ、映画館を出るとき、こんな広告が。

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 帰ってこないんだよ・・・。

 そんな感じで、連絡がくるまであらゆる手段を使ってずーっと暇をつぶしていた。漫画を読める場所に行ったり、ラーメン屋に行ったり。いつ本格的に台風がやってくるのかと心配だったけど、雨が強くなるばかりでなんとかなったのでよかった。

 そして10時過ぎ、ようやく家に帰ってきたとの連絡があり、早速家へ。10時間ぶりの家はものすごく落ち着ける場所だった。やっぱり家って最高。

スリップ★ホリデイ

 僕は毎週木曜日が休みのため、欲しいものを買い占め、溜まっているものを消化していくのが主な過ごし方。そのため、いろいろな場所に出かけるなどをしてあっという間に一日が終わる。こないだの木曜日も、その流れでいろいろな場所に出かける予定を立てていた。

 今回の木曜日に消化する予定は、上映時間の長い映画を観ること、まだ聴けていない名盤を聴くこと、である。

 今はとあるアニメにハマっているため、そればかり借りている。そのアニメのシリーズ1作目は観終わったので、その1作目と時系列でつながりのある作品を借りていたのでそれから消化していくことにした。

 それは全部で5巻あり、そのうちの1~3巻を借りていた。1巻に30分しかないため、3巻まで観ても90分。あっという間に観終わってしまった。

 ストーリーも面白いために、早く続きが観たくなってしまった。来週の水曜日あたりに続きを借りるつもりだったが、せっかく出かけるわけだし、それに今日は給料日である。DVD2枚を借りるくらい容易いだけのお金があるわけだ。というわけで、予定外だが4,5巻を借りにいくことにした。

 借りに行くついでに聴いていなかった名盤を聴くことにした。そのほうが時間を無駄にしないで済むだろう。というわけで、こないだ借りたAC/DCの「BACK IN BLACK」とBlack Sabbathの「Paranoid」をiPodで再生することに。

 ちなみに、AC/DCの「BACK IN BLACK」は世界で4900万枚を売り上げたアルバムで、歴代3位の売り上げを記録している歴史的名盤(1位はスリラー、2位はピンクフロイドの狂気)。Black Sabbathの「Paranoid」は世界にへヴィメタルを浸透させるきっかけとなったアルバムで、そのアルバムを作ったBlack Sabbathへヴィメタルの始祖ともいわれているバンドである。

 僕はバイク乗りのため、バイクにまたがりイヤホンをつけて出発。まずはAC/DC。ハードな音ながらポップさがあるため聴きやすく運転中のテンションはダダ上がり。これが歴代3位か。そのすごさに浸りながらの旅路はとても優雅だった。

 楽しいドライブはあっという間に終わり、TSUTAYAに到着。借りたかった作品のあるアニメコーナーに行く。―――も、そこに「マクロスゼロ」は無かった。借りられていた。シリーズでもそんなに突出した人気のある作品というわけでもないのに…。仕方なく、来週借りようと思っていた映画を借りた。

 トボトボと店を出るも、やはり納得いかない。どうしても続きが観たい。そうなってしまってはもう僕の心は動かない。続きを絶対に借りてやる。そう思い、また別のレンタルショップに足を運ぶことにした。

 そこでAC/DCは聴き終わった。さて次はBlack Sabbathだ。全く知らないが音楽を知るためには外せないアルバムだし名盤と言われているのだから良いに違いないだろう。そう思いながらiPodで再生し、再びバイクを走らせた。

 AC/DCを聴き、さらにBlack Sabbathを流しているわけだからテンションは最高潮。しかも僕の心はレンタルショップへ一直線である。落ち着いた僕ならばまずあり得ないことだが、行ったことはないが近道と思われる道路を走りたくなった。もう誰にも僕を止められない。止めることはできない。知らない道をひたすら突き進む。

 しかし、その道はまるで近道ではなかった。

 どんどん山のほうへ入っていく。引き返したい気持ちもあるが、もはや道がわからないため引き返すことも不可能。車の影もまるで無く、何を目印に走ればいいのか全く見当がつかない。そこで、僕のとった選択肢はこうだ。

 とりあえず走っていればどこかに着くだろう。

 テンションが高まりまくり何も考えられなくなった僕が出した選択肢はバカバカしく、それでいてポジティブなものだった。

 そんなポジティブな考えとは裏腹に、どんどん道は狭まり、バイクで走ることも想定していないほどの山道に入っていく。道路も全く舗装されておらず凹凸が激しく、ポジティブな気持ちも徐々に薄れていく。このまま走った先が行き止まりである可能性すらあるように思えた。

 聴いているBlack Sabbathの「Paranoid」も、AC/DCほど僕の心に響かず、ただハードな音が流れていた。全く知らない道を、全く知らない曲を聴きながら走る。道にもアルバムにも不安を感じ、それでいて何も知らない道・知らない曲を聴くのは心をひどく苦しめた。

 どんどん奥のほうへ入り、2日前に降った雨が乾かないほど森林が生い茂っている道になっていった。舗装もされておらず、それでいて濡れた道を走るのはバイクといえどきついものがある。速度をゆるめ走るも、それもそれで心を不安にさせる要因となっていった。限りなく広い森林なのにどんどん狭い場所に入っている感覚がとても恐ろしかった。

 地面はさらにぬかるみを増した。もうだめかもしれない。引き返すのも手かもしれない。そう思った矢先、ふと耳から知っている音楽が流れた。「アイアンマン」である。以前の「アメトーーーク」のハードロック芸人の回で流れていた曲だった。僕のテンションは急に上がった。周りにあるものが知らないものばかりで、その中で知ってるものに久しぶりに巡り合えたからなのかもしれない。

 それによってスピードを上げたことが原因で、見事なためにスリップ。バイクは横転し、僕も横転し少し膝をすりむいた。

 それだけならまだよかったものの、道路はかなりぬかるんでいるのである。横転したことで僕もバイクも泥だらけになってしまった。上着もジーンズもシャツも泥まみれになり、僕は今までの不安もかすかに上がったテンションもすべて吹き飛び現実を直視した。早く家に帰ろう。そう思った。

 一瞬にしてすべてを反省し、ただ前だけを見つめ、家に帰ることだけを考えた。そして、今までよりもスピードを緩めながらも走り続け、それなりに大きな道に出ることができた。そこからトントン拍子で知ってる道に出ることができた。

 その「知ってる道」は、AC/DCからBlack Sabbathに切り替えた時、言い換えれば次のレンタルショップに向かおうとした時、近道をしようと思った道だった。結局、レンタルショップに向けて「進んでいた」はずだったが、気付けば「引き返していた」のであった。

 見るも無残な恰好のまま、まっすぐ家に帰り、着ていた服を洗濯機に入れ、バイクも洗浄する。家を出たのは昼前の11時過ぎだったはずなのに、バイクの洗浄が終わった頃には夕方6時過ぎになっていた。普通にレンタルショップに行ってアニメの続きを借りて帰って続きを観ても夕方5時程度なはずだったのに。迷ったのも大きかったがそれ以上に転んで服とバイクを汚したことによる時間の消費があまりにも大きかった。


 部屋で何も考えずただ転がっていると、会社から1通のメールが届いた。それは「アンピサイト」への登録というものだった。そういえば以前、メールアドレスを教えてくれと会社に頼まれていたが、これに登録してほしいということだったのか。でも聞き慣れない「アンピサイト」という言葉。よくわからないが、メールの本文に貼られていたリンクを踏む。そして僕はこのメールの意味を知った。

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 アンピサイトとは、出勤時や退勤時に事故に巻き込まれるなどした際に登録するもので、アンピサイトは「安否サイト」ということだったのだ。僕は何も悩まず速攻で「助けを求めています」に設定した。僕の心は未だにボロボロのままなのである。

奇怪な公衆電話

 僕が中学生の頃、卓球部に所属していた。その卓球部の試合で県大会に出場することになり、都会のほうへ遠征をしに行った時のことだった。

 うちの卓球部は市内でそこそこ程度の実力でしかなかったため、県大会ではひどい結果となり、かなりの暇ができてしまった。ほぼすべての部員の出番が終わり、残すは1,2名ほど。それも参加人数が多いためになかなか出番が回ってこず、その試合を残している部員も含め、とても暇なのであった。

 うちの部員の中でもかなり弱い部類に入る、遊ぶのが大好きなやつがいるのだが、そいつと、一緒によくつるんでいる部員らが公衆電話で何か賑やかに遊んでいるのを目撃した。暇だからって公衆電話でいったい何やってるんだと思ってそばに近寄っていくと、

 部員「おい!ちょっと来てみ!1111って押してみ!

 と、遊びたがりの部員に言われた。1111ってなんなんだ、どこかのコールセンターとか警察署的なところにかかるのか、と思ったが4桁だしなんなんだろうと思い、とりあえず言われた通りに押してみた。

 
 しかし、何も起こらない。


 どこにもかかる気配もない。

 なんだ、僕をからかったのか?

 そう思っていると――


 trrrrrr!!!!!!!!


 突然、公衆電話に電話がかかってきた!


 な、なんでだ!?公衆電話に電話がかかってくる!?はじめて目撃した光景だ。黒電話の着信音のような音で、それもかなり大きい音だった。電話番号が1111の場所からの電話なのだろうか?とはいえ、公衆電話に電話がかかってくるなんてことがあるのだろうか?よく状況がわからなかったが、僕はとりあえず電話を取ってみた。


 僕「も、もしもし・・・」


 しかし、反応はない。


 1111にかけた先の人から電話がかかってきたのかと思ったが、どうやらそんな様子でもない。それに、「ツーツーツー」といったような電話が切れた音もない。鳴った音は、黒電話のような着信音だけ。公衆電話に電話がかかってきたのは間違いないものの、誰からかかってきたのかもわからない。

 部員「な!?すごいやろ!?遊びでかけてたらこうなったんやけど、なんなんやろな

 周りの部員たちも不思議そうにこの光景を眺めていた。そのあとも、原因を解明しようとして何度も1111に電話をかけたり、2222や3333などの番号に電話をしてみたりもした。しかし、公衆電話に電話がかかってきたのは1111だけ。一旦1111に電話をして、電話を取らずに待ってみたりしたものの、何回かコールがあって切れるだけ。意味が全くわからない。暇な部員たちみんなで卓球のことなどそっちのけで公衆電話の謎に夢中になっていた。

 1111に5回ほどかけたものの、何も進展もなく、解明も全くされなかった。あまりにも恐ろしいし、それでいて面白い。この謎をどうにかしたいという思いと、大人の力が欲しいという理由で、24歳の卓球部顧問の新米教師(茶髪)を呼ぶことにした。

 先生はすぐに来てくれた。頭の上に「」マークが大量に浮かんでいるような顔を浮かべていた。とりあえず、遊びたがりの部員が事情を説明する。

 部員「先生!この公衆電話、電話がかかってくるんですよ!

 先生「は?そんなことないやろ

 部員「いや本当なんで!電話かかってきたら取ってみてくださいよ

 先生「はぁ。

 先生はさらに頭の上に「」マークが大量に浮かんでいる顔になっていたが、さきほどと同じように1111に電話をした。

 すると、今までと同じように電話がかかってきた。


 trrrrrrrrrr!!!!!!!!!


 先生「うぉ!かかってきた!


 電話がかかってきた瞬間、先生の体は反射反応でビクッと震わせていた。頭の上の「」マークが「」マークに変わったような顔を浮かべ、先生はビクビクしながら公衆電話の受話器を手に取った。


 先生「も、もしもし・・・


 もちろん反応は無い。


 先生の顔はみるみるうちに青ざめていき、呆然と立ち尽くしていた。そりゃそうだろう。知らない相手からの電話がなぜか公衆電話にかかってきて、受話器を取っても反応が一切ないのだから。怖くて怖くてたまらなかったのだろう、「変ないたずらはやめろよ!他の部員の応援せえ!」などという捨て台詞を吐き、足早に公衆電話の場から去っていった。

 その光景に僕含む部員たちは大笑い。それに、応援しなければならない部員も公衆電話の場にいたのだ。誰も卓球に目がいっていない。100%公衆電話だ。ただ、とてもおもしろかったのはよかったが、県大会が終わっても公衆電話の謎は一切わからないままだった。


 それから数年後のこと。インターネットで暇を潰しているとき、公衆電話に電話がかかってくる事について質問していたページを見つけた。


 http://okwave.jp/qa/q5475633.html
 質問者「公衆電話で『1111』にかけたら、電話がかかってくるの?
 回答者「電話の工事をした時に回線の確認をするために自動的にコールバックしてくる番号が有りました。公衆電話だけでは有りません。今は違うみたいです


 とのことだった。受話器を取っても返事がなく「ツーツーツー」も聞こえなかったのもコールバックされるだけだったからだったのか。奇怪な謎は、公衆電話のほうではなく、偶然にも電話工事の際にかける番号を発見した遊びたがりな部員のほうであった。